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三陸常磐地方の地震と津波の歴史

はじめに

日本は世界で最も地震が多い国の1つです。世界全体で放出される地震エネルギーのうち約20%が日本の周辺に集中していると言われるほど地震が頻発しています。それに加えて400以上の火山が存在します。さらに沿岸部は津波の被害にあうリスクが高いなど、地震に関連する自然災害による影響の受けやすさでは最悪な地理的条件を抱えています。地震を引き起こすプレートの数も多く境界面では大きな地震の発生するリスクが高くなります。東日本大震災だけでなく今後も南海トラフ地震などの大きな地震の発生が予想されています。

ここでは三陸常磐地域の地震の歴史について紹介します。この岩手・宮城・福島・茨城というのは東日本大震災で最も大きな被災を受けた4県です。その他にも数多くの地震が来ています。特に宮城県ではマグニチュード7から8クラスの地震が頻繁に来ている地域で津波も多く来ています。過去にも地震や津波で多くの人命が失われてきた地域でもあります。

また東日本大震災では事業の面でも大きな被害が出ました。震災を原因として企業が倒産することを震災倒産と言いますが、東日本大震災では数多くの企業が震災倒産となっており、2019年3月時点で累計1,903社に達しました。倒産企業の従業員被害者数は29,142人にのぼっています。また全国では島根県を除く46都道府県で関連倒産が発生し、広範囲な影響の大きさを浮き彫りにしています。

震災では個人の生活も重要ですが、その個人の生活を支えるべき立場の企業のことについても考えていくべき必要があるのではないかと考えています。

岩手県の地震の歴史

岩手県は三陸地域を中心に度々大きな地震と津波に見舞われて多くの人命が失われています。今後も頻繁に大きな地震と津波が来る地域と予想されます。ただ火山噴火による災害はあまりなさそうです。

869年(定観11年)7月13日:定観地震と大津波で死者多数、マグニチュード8.3
1611年(慶長16年)12月2日:慶長三陸地震で死者多数、戦うために騎乗をしたと思われる馬の死も多数、マグニチュード8.1
1677年(延宝5年)4月13日:延宝八戸沖大地震で大槌・宮古などで大津波で死者も含めて大きな被害、マグニチュード7.5弱
1678年(延宝6年)10月2日:宮城県北部地震で花巻地方の城壁や石垣などに大きな被害、マグニチュード7.5
1717年(享保2年)5月13日:宮城県沖地震で花巻地方に家屋の損害多数、マグニチュード7.5
1772年(案永元年)6月3日:陸前陸中地震で盛岡・遠野・宮古・大槌・沢内などで落石や山崩れで死者12名、マグニチュード6.8
1793年(寛政5年)2月17日:寛政宮城沖地震で大槌・釜石などで死者9名、マグニチュード8.4弱
1823年(文政6年)9月29日:陸奥岩手山地方で西根八が村で山崩れなどで死者・行方不明者73名、マグニチュード6.0弱
1856年(安政3年)8月23日:安政八戸沖地震と津波で死者26名、マグニチュード7.5
1896年(明治29年)6月15日:明治三陸地震と大津波で死者18158名、綾里で38メートルもの津波の遡上を確認、マグニチュード8.2
1896年(明治29年)8月31日:陸羽地震で和賀郡を中心に死者4名、マグニチュード7.2
1897年(明治30年)8月5日:仙台沖地震で釜石地域で3メートルほどの津波
1933年(昭和8年)3月3日:昭和三陸地震と津波で死者・行方不明者2671名、マグニチュード8.1
1960年(昭和35年)5月23日:チリ地震による津波で死者・行方不明者62名、マグニチュード9.5
1968年(昭和43年)5月16日:十勝南西部地震と津波で死者2名、マグニチュード7.9
1998年(平成10年)9月3日:岩手県内陸北部地震で負傷者9名、マグニチュード6.1
2003年(平成15年)5月26日:宮城県沖地震で負傷者91名、マグニチュード7.1
2003年(平成15年)9月26日:十勝沖地震で負傷者1名
2005年(平成17年)8月16日:宮城県沖地震で負傷者11名、マグニチュード7.2
2008年(平成20年)6月14日:岩手宮城内陸地震で死者2名、マグニチュード7.2
2008年(平成20年)7月24日:岩手県沿岸北部で負傷者90名、マグニチュード6.8
2011年(平成23年)3月11日:東日本大震災で死者・行方不明者6256名、マグニチュード9.0

宮城県の地震の歴史

宮城県は日本で最も大きな地震と津波で被害を受けている県です。過去にも多くの地震と津波で多くの方が命を落としています。今後も頻繁に大きな地震と津波が来る地域といえます。ただ火山噴火による災害はほとんどありません。
869年(定観11年)7月13日:定観地震と大津波で多賀城付近を中心に死者1000名、マグニチュード8.3
996年(長徳2年)不明:仙台と名取で津波発生
1394年(応永元年)不明:応永地震で仙台平野東部で津波発生
1611年(慶長16年)12月2日:慶長三陸地震で死者多数、戦うために騎乗をしたと思われる馬の死も多数、マグニチュード8.1
1646年(正保3年)6月9日:地震で仙台城や白石城が被害、マグニチュード6.7弱
1731年(享保16年)10月7日:宮城県南部で死者数名、マグニチュード6.5
1793年(寛政5年)2月17日:寛政宮城県地震で死者12名、マグニチュード8.2
1835年(天保6年)7月20日:宮城県沖地震で仙台城が損壊して死者多数、マグニチュード7.3弱
1861年(文久元年)10月21日:宮城県沖地震で陸前・桃生・登米・志田地域を中心に大きな被害、マグニチュード7.0
1896年(明治29年)6月15日:明治三陸地震と大津波で死者3452名、マグニチュード8.2
1897年(明治30年)2月20日:宮城県沖地震で県内や隣県で小さな被害あり、マグニチュード7.4
1900年(明治33年)5月12日:宮城県北部地震で遠田郡を中心に死者13名、マグニチュード7.0
1933年(昭和8年)3月3日:昭和三陸地震と津波で死者・行方不明者308名、マグニチュード8.1
1936年(昭和11年)11月3日:宮城県金華山沖地震で負傷者4名、マグニチュード7.4
1960年(昭和35年)5月23日:チリ地震による津波で死者・行方不明者54名、マグニチュード9.5
1962年(昭和37年)4月30日:宮城県北部地震で田尻地区を中心に死者3名、マグニチュード6.5
1978年(昭和53年)6月12日:宮城県沖地震で仙台市を中心に死者27名、マグニチュード7.4
2003年(平成15年)5月26日:宮城沖地震で負傷者64名、マグニチュード7.1
2003年(平成15年)7月26日:宮城県北部地震で負傷者675名、住家全壊1276棟、マグニチュード6.4
2005年(平成17年)8月16日:宮城県沖地震で負傷者79名、マグニチュード7.2
2008年(平成20年)6月14日:岩手宮城内陸地震で栗原地方を中心に死者・行方不明者18名、マグニチュード7.2
2008年(平成20年)7月24日:岩手県沿岸北部で負傷者17名、マグニチュード6.8
2010年(平成22年)3月13日:福島県沖地震で負傷者1名、マグニチュード5.7
2011年(平成23年)3月11日:東日本大震災で死者・行方不明者11789名、マグニチュード9.0。
2011年(平成23年)4月7日:東日本大震災の巨大余震で4名の死者、マグニチュード7.2
2016年(平成28年)11月22日:福島県沖地震で仙台港で3メートル程度の津波を観測、マグニチュード7.4

福島県の地震の歴史

福島県も宮城県や岩手県ほどではないにしても過去にも多くの地震と津波が来ています。また磐梯山や吾妻山の噴火も観測されています。そして東日本大震災で原子力発電がメルトダウンをして地震によるものとしては人類史上最悪レベルの被害を受けてしまいました。今でも県内や県外に多くの方が避難をして地元帰還を諦めなければならない年輩の方も多くいます。福島の方にはとても忌まわしい震災になりました。

869年(定観11年)7月13日:定観地震と大津波で死者多数、マグニチュード8.3
1454年(享徳3年)12月12日:享徳地震で会津地域で大きな揺れと太平洋岸で津波発生。
1611年(慶長16年)9月27日:慶長会津地震で会津地方を中心に死者3700名、住家倒壊2万棟以上、マグニチュード6.9
1611年(慶長16年)12月2日:慶長三陸地震と大津波で死者700名、マグニチュード8.1
1659年(万治2年)4月21日:田島地震で会津と那須地方を中心に死者39名、マグニチュード7.0弱
1677年(延宝5年)11月4日:延宝房総沖地震と大津波で死者多数、マグニチュード8.0
1683年(天和3年)10月20日:日光地震で南会津を中心に山崩れで道路が寸断、マグニチュード7.0
1710年(宝永7年)9月15日:磐城地震で家屋倒壊9棟、マグニチュード6.50
1731年(享保16年)10月7日:地震で岩代地方と宮城県で住家倒壊300棟以上、マグニチュード6.5
1793年(寛政5年)2月17日:寛政宮城県地震で死者12名、マグニチュード8.2
1821年(文政4年)12月13日:地震で岩代地方を中心に少数の死者と家屋倒壊130棟、マグニチュード6.0弱
1938年(昭和13年)11月5日:福島県東方沖地震で死者1名、マグニチュード7.5
1960年(昭和35年)5月23日:チリ地震による津波で死者・行方不明者4名、マグニチュード9.5
1964年(昭和39年)6月16日:新潟地震で会津地区を中心に負傷者12名、マグニチュード7.5
1978年(昭和53年)6月12日:宮城県沖地震で中通り浜通り北部で被害、死者1名、マグニチュード7.4
2003年(平成15年)5月26日:宮城沖地震で住宅損壊多数、マグニチュード7.1
2004年(平成16年)10月23日:新潟県中越地震で住家倒壊1棟、マグニチュード6.4
2005年(平成17年)8月16日:宮城県沖地震で負傷者5名、マグニチュード7.2
2008年(平成20年)6月14日:岩手宮城内陸地震で栗原地方を中心に死者1名、マグニチュード7.2
2011年(平成23年)3月11日:東日本大震災で死者・行方不明者4035名、原発事故発生で未曾有の被害。マグニチュード9.0。
2016年(平成28年)11月22日:福島県沖地震で負傷者8名、津波発生

茨城県の地震の歴史

茨城県では意外にも過去の地震の記録は多くありません。ただ最近は地震も多くかなり高い確率で大地震と津波が来る確率の高い危険な地域になっています。今後も警戒が必要です。

818年(弘仁9年)8月ごろ:弘仁地震で関東地域を中心に圧死者多数、マグニチュード7.5
869年(定観11年)7月13日:常陸国にも大津波襲来と予測、マグニチュード8.3
1677年(延宝5年)11月4日:延宝房総沖地震と大津波で水戸近郊で死者36名、マグニチュード8.0
1855年(安政2年)11月11日:安政江戸地震で家屋全壊27棟、マグニチュード7.1弱
1895年(明治28年)1月18日:霞ヶ浦地震で鹿行地区を中心に死者6名、マグニチュード7.2
1923年(大正12年)9月1日:関東大震災で県南地区を中心に死者・行方不明者5名、マグニチュード7.9
1960年(昭和35年)5月23日:チリ地震による津波あり、マグニチュード9.5
2005年(平成17年)2月16日:茨城県南部地震で負傷者7名、マグニチュード5.3
2008年(平成20年)5月8日:茨城県沖地震で負傷者1名、マグニチュード7.0
2011年(平成23年)3月11日:東日本大震災で県北部を中心に死者・行方不明者67名、以降も数多くの余震あり、マグニチュード9.0
2016年(平成28年)11月22日:福島県沖地震で小津波、マグニチュード7.4

まとめ

こうしてみるとやはり三陸地域で地震の発生リスクが高くなっています。また最近は茨城県沖も大きなリスクがあるのではないかと言われています。当然ながら海沿いの地域では津波の発生するリスクも高くなります。

この地域は特に地震や津波に対する備えが必要になってきます。耐震構造の建物を作る・低地に作らずに高台に作る・建物と建物の間をある程度空けるなどの対策も必要そうです。

企業の場合は建物の損害や営業をできなくなってしまった時の補償として地震保険を考えてもいいような気がします。万一の大きな損害に対して備えをしておくことも大事です。

ただ地震保険には難しい問題があります。それを以下で説明します。

参考資料
地震保険の理論と実務:栗山泰史・五十嵐朗著

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