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多様化する自然災害

はじめに

日本は深刻な財政負担を抱えています。しかも現在コロナ問題で個人・企業とも大きなダメージを受けています。そこに首都直下地震や南海トラフ地震などが起こると首都圏・東海圏・関西圏という三大都市圏で国などの自治体だけでなく様々な企業を巻き込んだ大規模な財政破綻を起こす可能性が高まってしまいます。

近年のアジアの大災害をまとめると2004年のインドネシアでの大地震と大津波・2011年のタイでの大洪水・同じく2011年の東日本大震災・2016年での台湾南部地震・2016年の熊本地震・2019年の四川大地震などの災害があります。

そこから防災と金融をリンクさせていこうという話が広がっています。取引所機能の強化やプロ市場の育成さらには銀行・証券・保険のルールの改善など多岐にわたります。さらにアジア災害プール制度とリスクファイナンスセンターの創設をしたらどうかと考えています。リスクの担い手の活用やリスクファイナンスの多様化も含めたリスク耐性強化などについても話を進めていきます。

災害復興やリスクファイナンスなどの課題克服というところを主眼に置くと国内外を超えた産・官・学の連携が必要な時ではないかと思われます。

リスクの多様化

地球上では様々な問題が起きています。地球温暖化からの台風やハリケーンの増加そして暴風や洪水などを含めた大災害も多くなっています。また世界的にテロも起きています。さらに世界で猛威をふるっている新型コロナウイルスによる感染症。もはや災害は国レベルではなくグローバルな問題として考えていかなければならない時期に来ています。

21世紀の大きなリスクとしては災害・環境・交通・電気通信・医療などの様々な社会が共存するリスクが起きるということです。東日本大震災などはその顕著な例かもしれません。また都市型の自然災害やバイオテロなどの問題も今後さらに予想されそうです。地球を大きく破壊するものになりかねないので大きな対策を行っていく必要が出てきます。

アジアの自然災害

自然災害の多発や大規模化が世界的に顕著になっています。特に近年のアジア地域では災害の4割近くが起こっています。特に日本・中国・インドネシア・タイ・フィリピンなどの東アジアや東南アジアでは
大地震や大洪水などの大きな自然災害が頻繁に起きています。その自然災害に基づく死者数は6割近くと半数を超えます。ただアジアは世界中の人口の6割前後が集中している地域なのでそれ自体が大きな驚きになることはありません。

ただアジア地域は欧米や豪州などに比べて未発達な地域が多くなっています。災害への復興も10年・20年というレベルでかかっている地域もあります。また保険などのリスクファイナンスの整備もできていません。2019年に起きた四川大地震は2兆円超の損害が出たものと思われます。その中で保険でカバーされた金額は1%の210億円にも及びません。いかにリスクファイナンスが脆弱であるかを示しています。

日本はさらなる災害大国

日本は超地震大国です。日本は世界中の陸地面積の400分の1程度しかありません。地球全体でいうと1200分の1以下になります。その中で世界の地震エネルギーの1割近くが日本と列島近郊に集中しています。首都直下地震やプレート海溝の大地震がいつ起きても不思議ではありません。その割には地震などのリスクファイナンスへの意識はかなり小さいと感じています。このままでは世界経済に大きな影響を及ぼしかねません。

また首都直下地震・東南海地震・南海トラフ地震などが起こると数十から100兆円規模の大きな経済損失が出るものと予想されています。ちなみに阪神大震災では13兆円程度の経済被害が出ました。

リスク資金が少ない

日本では1500兆円近くの金融資産があるといわれています。その内訳は債券や銀行預金が大半でリスク資産と言われている株式や投資信託などは多くありません。日本では金融サービスさらにリスクファイナンスへの資金投入はほとんどなされていません。これはリスク部門の必要な産業の発展の阻害を示しています。ロンドンやニューヨークなどの世界の巨大都市やシンガポール・香港・上海などのアジアの新興都市がリスク資金への投資を積極的に行っていることと比べても東京や大阪がこの面で遅れているというのは何とも言えない歯がゆさを感じます。株式・デリバティブ・再保険市場などにもっと力を入れるべきではないかということを痛切に感じます。

自然災害リスク指数

自然災害リスク指数とは危険発生の可能性・都市の脆弱性・危険にさらされる経済価値の3つから総合的に算出されます。この数値がきわめて高い地域が日本の首都圏地域ということが分かってきました。

なんと東京・横浜・さいたま・千葉の首都圏地域が710程度と断トツで高いです。2位のサンフランシスコの160と比較して4.5倍程度と断トツです。以下3位ロサンゼルスが100、4位大阪・神戸・京都が92、5位ニューヨーク42、6位香港41、7位ロンドン30、8位パリ25、9位シカゴ20、10位メキシコシティ19となっています。日本などの東アジアとアメリカ西海岸付近に上位の地域が固まっています。その中でも東京地区の数値は尋常ではありません。リスクファイナンスへの意識を早急に高めなければならないというデータが裏付けられます。

またアジアではシンガポール・ジャカルタ・ソウル・北京・上海・バンコク・ニューデリー・バクダッドなどで自然災害指数が比較的高めになっています。

日本の危険地域

日本全体でみると自然災害はどこでも起こり得ます。ただその中でも東京・横浜・千葉などの東京湾岸地域、大阪・神戸などの近畿直下、名古屋などの東海地域、和歌山や四国などの東南海地域、富士山周辺、三陸地域、九州南部、北海道東部などで地震や噴火などに対するリスクが高まります。圧倒的に太平洋側の地域で自然災害に対するリスクが高くなります。

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