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熊本大分地震での企業の備え

はじめに

日本企業の7割近くの企業が地震を含めて経営を揺るがすような大きな災害が来るのではないかと予想をしているというデータがあります。そのための対策としては事業継続計画の策定や災害保険への加入を考えている方は少なくありません。また全体の5割近い企業はそのような大災害での企業の損害予測を算出しています。さらに35%ほどの企業は自然災害による休業での損失リスクを想定しています。

大企業では事業継続計画と事業継続のマネジメントの両方ができているところが多くなっています。ただ中小企業に関していえばどちらかの対策が後手を踏んでいるもしくは両方の対策が進んでいないというところが多くなっています。

また災害保険への加入は大手・中堅企業では59%ほど・中小・零細・個人企業では47%ほどと比較的差が大きくなっています。保険未加入の大きな理由は保険料の高さと災害に対する意識の低さがあるのではないかと考えられます。保険でも補償内容が限定されていることまた大きな災害が起こってしまうと中小企業では多くの補償は望めないという面で保険への加入を見送っている方が多いという事実もあります。
災害時の資金調達方法は銀行融資と自己資本の組み合わせもしくは災害保険と自己資本のセットで考えているところが多くなっています。災害に対してあまり危機感を抱いていない日本企業の経営者の方が多いという実態があります。

熊本大分地震からの教訓

このデータを熊本・大分県の企業ではどのようになっていたかを調べたデータがあります。これらの企業の中で事前に熊本大分地震のような大災害を予見していた会社は19社中10社と半数超ありました。その中でも被災確率までを考えていた会社は5社ほど。さらにそれが10年以内に来るであろうと考えていた会社が2社ほどありました。地震や津波さらには噴火などで長期の休養を余儀なくされると予想した会社は1社だけでした。

その中で災害保険に加入をしていた会社は11社ほどと比較的多くありました。財産保険はすべての11社が加入をするも休業保険に関しては5社しか加入していませんでした。それも東日本大震災を教訓に加入した会社が多く2013年以降に加入した会社も少なくありません。

災害保険に加入しなかった会社の理由としては他の地域と同様で保険料の高さと災害に対する危機感の少なさを挙げています。また保険加入をした11社に加入の理由を聞いたところ損害が起きた時の損害の大きさと操業地域が近いので一気に経営が追い込まれるという危機感があるということです。

これらの19社のうちで事業継続計画や事業継続のマネジメントを行っていた会社は6社ほどとあまり多くはありませんでした。さらに社訓でリスクファイナンスに取り組んでいた会社は4社ほどとさらに少なくなっています。

ただ九州地域に在住している方は地震よりも圧倒的に台風などの水害を警戒しているということも分かってきました。台風への不安や備えはできているものの地震への備えはまだできていないという会社も多くということも分かってきました。

また災害のための資金調達方法も災害保険と自己資本もしくは銀行融資と自己資本で考えているところが多くなっています。また太平洋側の大分の方が台風に対するリスクの備えができているということもあって災害保険への意識が高めになっているということも分かってきました。全般に大分県の企業の方が災害保険やリスクファイナンスへの意識が高くなっていると考えて間違いはなさそうです。大分県の方が災害への取り組みの意識も高くなっていることまた地場産業の存続の不安や危機感を抱いているというところからも災害から企業を守っていこうという機運が高まっているものと考えられます。

諸外国との比較

日本企業の災害保険への加入率は世界の中での災害の発生頻度を考えるとかなり低いのではないかと考えています。他の先進国よりもリスクファイナンスへの意識も大きく劣っているのではないかと考えられます。もし欧米が日本並みの災害大国であれば災害保険への加入率及びリスクファイナンスへの意識は比にならないレベルで高くなるであろうと予測されています。

またアジア地域と他地域を比較していくとアジア地域は他の地域の2倍近くも大災害が発生していることが分かっています。日本・中国・インドネシアなどは地震大国です。また中国西武などは干ばつ・南アジアなどはモンスーンの影響を受けるので水害のリスクが格段に高くなります。アジアは地域も広く人口も多いですので災害に遭う可能性が高くなってしまうのは仕方ないのかもしれません。ただ今後もこのような傾向が続くものと思われます。災害が来た時でも被害を少しでも小さくしていくための対策を採っていくことはとても大事なことです。そのようなことを踏まえてもアジアのリーダーである日本の自然災害に対してのリスクファイナンスという考え方も大きな意味を持ってくるのではないか。そのような気がしてなりません。

日本企業全体・地域企業単位での地震に対する意識調査を知ることはできました。ただ企業単体での意識調査を示すデータは見つかりませんでした。今後の日本企業がリスクファイナンスへの意識を高めるためにもこのようなデータを検証していきたいという想いが強くあります。

また熊本大分地震でのデータ分析からも経営者のリスクファイナンスや災害管理の徹底さらに災害保険への加入率を高めていくということをしていかなければならないと強く感じたデータになりました。

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