意義・Mission
日本を支える中堅、中小企業の地震に対する早期復旧を経済的側面から支え、日本経済の地震による早期復旧に寄与する。
設立背景
日本は世界で最も地震が多い国であり、世界全体で放出される地震エネルギーのうち約20%が日本の周辺に集中していると言われるほど地震が頻発しています。それに加えて400以上の火山が存在し、さらに沿岸部は津波の被害にあうリスクが高いなど、地震に関連する自然災害による影響の受けやすさでは最悪な地理的条件を抱えています。特に、2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の巨大地震「東日本大震災」として歴史に名前を残しています。インフラが整った日本であっても、その使者と行方不明者は18,430人となっています。また、避難生活などで亡くなったいわゆる震災関連死は国のまとめで3,700人以上と、関連死を含めた震災による死者と行方不明者は22,000人を超えています。さらに、原子力発電がメルトダウンするなど、地震によるものとしては人類史上最悪レベルの被害をもたらしました。
そんな日本において明治時代から「地震保険は必要」だと言われ続けていました。しかしながら、保険会社だけでは莫大な損害額を補償しきれないために、中々誕生するまでには至りませんでした。しかし、大きな被害が広範囲に及んだ1964年の新潟地震がきっかけとなり、被災地新潟選出であり、当時の大蔵大臣であった田中角栄の尽力があり「地震保険に関する法律」が「地震再保険特別会計法」と共に公布、施行され、1966年6月1日から地震保険が発売されました。あわせて、再保険のため、日本地震再保険株式会社が設立されました。このように民間保険会社では抱えきれないリスクを政府が最終的に引き受けることにより地震保険が徐々に普及し、現在では全国平均約30%となっています。
しかし、企業に目を向けてみると加入率は10%程度に留まっているのが現状です。また、被災による企業の利益を補償する利益保険については1%にも満たない状況です。普及が進まない理由に、保険料の高さや情報不足、必要補償額が得られないといった要因が挙げられています。また、民間保険会社としても、普及が進まず利幅も薄い地震保険に注力するよりも、サイバー保険や役員賠償保険などの新商品を販売する方が、代理店にとっても有利といった本音もあります。さらに、中小企業を中心にBCPやBCMに長けた人材やリスク管理責任者がいない企業が多いことも、地震保険を敬遠する一因になっているとも言われています。そして、昨今では地震保険の引き受け自体が断られることも多く、企業の中で「地震保険には入りたくても入れない」という状況になっているのが現状です。
震災を原因として企業が倒産することを震災倒産と言いますが、東日本大震災では数多くの企業が震災倒産となっており、2019年3月時点で累計1,903社に達しました。倒産企業の従業員被害者数は29,142人にのぼっています。また、全国では島根県を除く46都道府県で関連倒産が発生し、広範囲な影響の大きさを浮き彫りにしています。被害パターン別では、取引先・仕入先の被災による販路縮小などが影響した「間接型」が1,701件に対し、事務所や工場などが直接損壊を受けた「直接型」は202件でした。負債総額は約1兆7,000億円に上っています。また、更に今後30年で高確率で発生すると言われる、南海トラフ地震、東海地震、首都直下型地震は東日本大震災の数倍から数十倍の被害額が推定されております。企業が永続的に発展、繁栄するためには日本の地震という自然災害は切っても切れない関係です。その地震にどう向き合うのか、どのように付き合っていくのか、企業としての考え方が問われています。
我々、日本企業地震保険協会(JCEIA)では、日本を支えるの中堅・中小企業に地震保険というリスクファイナンスの手法を普及することにより、被災した企業が地震から早期に復旧し、日本経済を発展させる一助となることを目的として設立されました。震災後の雇用の保持と創出は被災地域の経済活動にとって極めて重要となり、被災された方々に安心を与えます。また、事業中断による利益損失を補償する(利益保険)ことは、究極の状況に置かれた経営者の意思決定に多大な影響を与えることでしょう。我々は日本を支える中堅・中小企業、その経営者に地震という日本特有のリスクに対するファイナンス手法を普及する事により日本経済の発展に貢献して参ります。
一般社団法人 日本企業地震保険協会
代表理事 足立哲真